登山エッセイ本の著者に聞く!書籍化までの道のりや出版のコツ

「自分の本を出してみたい」
「漫画が書籍化するまでの裏話を知りたい」

漫画を描いている方のなかには「自分の漫画を本にしたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

しかし、実際にどんな工程を踏む必要があるのか、いまいち想像できないですよね。

そこで今回は、登山漫画で書籍化を実現させたありをさんに、出版の裏話をお聞きしました!

記事の内容
  • 出版までの道のり
  • 出版で大変だったこと
  • 本を出版するためにやるべきこと

「自分の描いた漫画を出版してみたい」「私でも本を出版できるのかな?」と思われている方は、ぜひ記事の内容をご覧ください。

インタビュー相手

名前:ありを

\プロ運営の漫画特化オンラインサロン/

登山にハマり、インスタ漫画家に

かえで
本日はよろしくお願いいたします!まずは、自己紹介をお願いできますでしょうか?
ありを
ありをと申します!元々、看護師とYouTuberをしていて、現在は漫画家とイラストレーターとして活動しています。
かえで
かなり大きなキャリアチェンジですね…!なぜ漫画家になられたんですか?
ありを
小学生のころから絵を描くのが好きだったんですよね。

あと、登山系YouTuberの活動をとおして、「絵の仕事をしたい」という気持ちが強くなって。

ありを
選択肢のひとつに入れていた、インスタ漫画家を目指しました!

登山漫画のキャラクターに憧れて

かえで
登山系YouTuberとしても活動されていたんですね!登山にハマったきっかけは何だったのでしょうか?
ありを
昔読んだ漫画に、テントを担いで山に登ったり料理をしたりする女の子のキャラクターがいて。

その姿を見て「かっこいい!」「私も登山をしてみたい」と思ったんです!

ありを
登山はもちろんアウトドアの趣味もなかったので、最初は慣れなくてかなり失敗もしました。
でも、苦労して見た山の景色が本当に美しくて。

気づいた瞬間にはハマっていましたね(笑)。

YouTuberをやめてインスタ漫画家1本で活動開始

かえで
YouTuberの活動をストップしたのには、何か理由があったのでしょうか?
ありを
そもそも、YouTuberになりたかったわけではないのが大きな理由ですね。

パートナーから「YouTubeをやってみたいから、演者として出てほしい」と言われたのがきっかけではじめたので、数年間だけ続けるつもりだったんです。

ありを
また、YouTubeのアイキャッチを描くのがすごく楽しくて。
「自分の絵で漫画家に挑戦したい!」という気持ちが強くなりました。
かえで
映像じゃなくて、漫画メインで活動したいと思われたんですね…!

エッセイ本出版までの道のり

かえで
インスタ漫画家から、どのような経緯でエッセイ本の出版に至ったのでしょうか?
ありを
KADOKAWAが運営するニュースメディア『ウォーカープラス』から、「ありをさんのインスタ漫画を掲載したい」というお声がかかったことがきっかけでした。
ありを
はじめは無償だったのですが、そのあと「ウォーカープラスのWeb連載漫画を描いてほしい」というお仕事をいただいたんです。

描いた連載漫画のPV数がよかったことで、書籍化が決定しました!

参考:無趣味インドア会社員が登山にハマる!?実体験と山の魅力伝える漫画が話題【作者に聞く】

かえで
無償の依頼から本の出版につなげたありをさん、すごすぎる…!

インスタ漫画を描きはじめてから書籍化まで、どのくらいのスケジュールだったのでしょうか?

ありを
インスタ漫画をはじめてから3ヶ月後に、Web連載漫画のご依頼をいただきました。

それから数ヶ月後に書籍化が決まったので、漫画家になってから書籍化決定までは大体1年ですかね。

かえで
漫画家をはじめてから、書籍化が決まるまでのスピードが早すぎますね…!

本を作るにあたって大変だった7つのこと

かえで
はじめての書籍化で、さらに短いスケジュールで作るとなるとかなり忙しそうなのですが、本を作るにあたって大変だったことはありますか?
ありを
  1. 出版社用語がわからない
  2. 出版したい本の方向性が違った
  3. 書籍向け漫画の描き方がわからない
  4. スケジュールの全体像がつかめない
  5. 限られたページに内容が収まらない
  6. 予定していた納期に遅れそうになる
  7. 商品の掲載許可をとる必要がある

この7つです!順番に説明しますね。

1.出版社用語がわからない

ありを
はじめは出版社用語がわからなくて、かなり苦労しました。
かえで
出版社用語には、具体的にどのような言葉があるのでしょうか?
ありを
たとえば、写植(写真植字)という写真の原理を用いて印字する方法があるのですが、本になるときに文字を後入れすることを知らなくて。

「写植するから文字は書かないでほしい」といわれても、なかなか理解できず原稿面でご迷惑をかけましたね。

かえで
たしかに、はじめて聞く言葉だとどんなことをするのかわからないですよね…。
ありを
あと、本の表紙をデザインするときに、裏表紙や背表紙の意味もわからなくて「結局、絵を何枚描けばいいんだ?」と悩みました…。

2.出版したい本の方向性が違った

ありを
書籍化の話をいただいたときは、てっきりエッセイ漫画を描くものだと思っていたので、山登りが楽しいことが伝わる「ゆるい漫画」を描こうと考えていたんです。

でも、出版社さんが求めていたのは「登山初心者の方が山に行けるようになる本」だったんですよね。

かえで
作りたい本の方向性が違っていたんですね…!
ありを
私は登山のプロではないので、エッセイ漫画でどこまで専門知識を描けばいいのかわからなくて。

悩みに悩んだ末に描いた漫画が、すっごくつまらなかったんですよ(笑)

かえで
逆にその漫画気になります(笑)。最終的には、どちらの方向性に着地したのでしょうか?
ありを
編集者さんたちと相談した結果、エッセイ漫画として描いて、最後に専門知識を詰め込むページを作る形で落ち着きました!

方向性が決まるまでは、内心かなり焦りましたね。

3.書籍向け漫画の描き方がわからない

ありを
書籍用の漫画を描いたことがなかったので、構成の作り方からコマ割りまで学び直しだったのが大変でした。
かえで
インスタ漫画と書籍では、描き方が違うのでしょうか?
ありを
全然違ったんですよ!インスタ漫画は正方形に収めればいいのですが、書籍はA5サイズなのでコマの大きさも変わるんです。
ありを
何もかもがはじめてだったので、編集者さんにたくさんアドバイスと修正をいただいて。
全18話のうち1話目のラフを完成させるのに、2ヶ月弱かかりました(笑)。
かえで
かなり大変さが伝わります…。
ありを
あと、下書きや清書など何を送るかによって、画像のデータ形式を変えることも知らなかったんです。

データの送信方法がわからないことで、編集者さんに間違った形式のデータを大量に送ったこともありました。

かえで
データの送り方にもルールがあるんですね…!

4.スケジュールの全体像がつかめない

ありを
出版社さんが想定する、スケジュールの全体像を把握するのも難しかったです…。
かえで
スケジュールは、事前に伝えていただけなかったのでしょうか?
ありを
「◯月◯日までに1話描いてください」と伝えてくださるのですが、漫画以外にも表紙やWebバナーを作ったり、インタビューを受けたりなど、書籍化に伴う+αの依頼があることをあとから知って。

「こんな仕事もあったのか!」と、焦りました(笑)。

かえで
たしかに自分が知らない工程が裏にいっぱい隠れていると、スケジュール想定が難しそうですね…。

5.限られたページに内容が収まらない

ありを
あと、想定よりも描きすぎて、ページが足りなくなったのも大変でした。
かえで
ページが足りなくなることもあるんですか?
ありを
漫画とは別にコラムという、登山知識を詰め込んだページがあるのですが、1話につき2〜4ページの予定だったんです。

でも、「コラムは書きたいだけ書いてください」という編集者さんのお言葉に甘えて、登山への愛を詰め込んだところ、1話4〜6ページとかになってしまって(笑)。

かえで
オーバーしていますね(笑)。
ありを
元々160ページの中に、全18話の漫画とコラムを入れる予定だったのですが「このままだと16話までしか入らない」という状態になったんです。

編集者さんが上の方に掛け合ってくださって、最終的には190ページまでページ数を増やしていただけました!

かえで
予定より30ページ増えたんですね…!
ありを
そうなんですよ。さすがにあのときは胃が痛かったです…。

6.予定していた納期に遅れそうになる

ありを
5月から書籍化に向けて毎日漫画を描いていて、11月に出版が決定したのですが、その時点で納期より2ヶ月遅れている状態で。

そのときは、本気で焦りました。

かえで
2ヶ月遅れは焦りますね…。遅れたのには何か理由があったのでしょうか?
ありを
インスタ漫画は2日で描けるので、スピード感は問題ないと思っていたのですが、はじめての書籍漫画ということもあり、修正に修正が重なって…。
かえで
どのくらいの修正があったのでしょうか?
ありを
1話目は7〜8回修正しましたね。
かえで
7回以上も?!私だったら心が折れます…。
ありを
漫画だけじゃなくてコラムも「句読点の位置がおかしい」「誤字がある」「デザインがわかりづらい」などで修正を繰り返しました。
ありを
でも、編集者さんから修正をいただき続けることで漫画のレベルが格段に上がった自覚があって。

原稿料をもらいながら教育も受けられる環境だったので、駆け出し漫画家の私にとってはかなりありがたかったです!

かえで
仕事をしながら学べるのは最高の環境ですね…!最終的に、納期には間に合ったのでしょうか?
ありを
なんとか間に合いました!

7話分のラフをいままでにないペースで描き上げて、1月初旬に全話を納品できました。

かえで
やりきる根性がすごい…!

7.商品の掲載許可を得る必要がある

ありを
書籍になる場合は、漫画やコラムで紹介した商品の掲載許可を取らないといけないことを知らなくて。絵を修正するときが大変でした…。

約70社への掲載許可取りはすべて編集者さんがしてくれたのですが、かなり大変だったと思います。

かえで
登山だと使うアイテムも多そうなので、そのぶん大変ですよね…。
ありを
なかには掲載NGが出る商品もあって、そうなると絵を描き直さないといけなくて。1ヶ月弱、毎日修正していました。

かなり気合いを入れて描いたお菓子を消すときは泣きそうでした(笑)。

ありを
漫画は納品してからも、修正が大変なことを今回はじめて知りました。
書籍化を見据えた漫画を描く際は、修正があることを頭に入れておくと心の準備ができると思います。

あと、商品は忠実に描くとメーカーさんに喜ばれます!

かえで
各方面への配慮が必要なんですね…!

本の出版でこだわったポイント3つ

かえで
ありをさんが、今回の書籍化にあたってこだわったポイントをお伺いしたいです!
ありを
  1. 山登りをしたことがない人でも楽しめる内容にする
  2. 山登りで大切なマナーや振る舞いを含める
  3. 子どもも楽しめる可愛いイラストを描く

特にこだわったポイントはこの3つです!

1.山登りをしたことがない人でも楽しめる内容にする

ありを
登山の本ではあるのですが、山登りをしたことがない人でもワクワクして読んでもらえるよう、色遣いを工夫したり、内容を単純化したりしています!
ありを
また、YouTube時代で得た知識を活かして、どの本にも載っているような知識だけではなくて、実際に現場で学んだこともふんだんに詰め込みました。

なので、“何がわからないのかわからない人”も楽しめる内容になっていると思います!

かえで
山登りについて知らない人も、楽しく読める内容になっているんですね!

2.山登りで大切なマナーや振る舞いを含める

ありを
山登りをするときには、安全の知識はもちろんなのですが、登山者のマナーや振る舞いも大切なんですよね。
かえで
登山者が守るべきマナーがあるのは、知らなかったです…!
ありを
無意識に山や人にとってよくないことをしてしまう、ということもあって。

本では、山登りで知って欲しいマナーや心構えなども詰め込んでいるので、ぜひ見てみてほしいです!

3.子どもも楽しめる可愛いイラスト

ありを
山やモノに、顔を描いて命を吹き込んでいるのもこだわりポイントのひとつです!

かえで
たしかに、人や動物以外に顔を描いてある絵はあまり見ないです…!
ありを
YouTuber時代の視聴者さんに、子どもが意外と多くて。
その子たちが「山に顔を描いてる絵が好き」と口をそろえて褒めてくれたんです!
ありを
「子どもが楽しんでくれるなら、どんどん顔を描いちゃおう」と思ったのが、きっかけでしたね。
かえで
色遣いや絵のこだわりが絵本みたいで、子どもと一緒に楽しく読めそうですね!

漫画家必見!自分の本を出版するときにやるべきこと

かえで
自分の本を出したいと考えている漫画家さんは多いと思うのですが、書籍を出版するためのコツは何かありますか?
ありを
  • すでに漫画を描いている人
  • これから漫画を描いていきたい人

上記2パターンの方にやっていただきたいことを、それぞれ解説します!

すでに漫画を描いている人

ありを
すでに漫画を描かれている方は、以下の3つを意識して取り組んでみてほしいです。

  • どんな本を出版したいのかを考える
  • 好きを重ねる
  • SNSを伸ばす

どんな本を出版したいのかを考える

ありを
私の場合は山登りのエッセイ本を出版したいと考えていたので、登山の話をメインに発信しようと決めていました。
かえで
はじめから、出版したい本のテーマを決められていたんですね!
ありを
どんな本を出したいかを決めることでSNS等で発信する内容を絞れるので、まずは自分の好きなテーマを明確にすることからはじめてみてほしいです!

好きを重ねる

ありを
本を出版するにあたって、好きを重ねていくことも大切だと思います。
かえで
好きを重ねるというのは?
ありを
簡単にいうと、2つの好きなことを掛け算するようなイメージです。

たとえば私だったら、大好きな「山登り」と「イラスト」を重ねて、登山エッセイ漫画にたどりつきました。

かえで
たしかに、好きなものなら熱が入りそうです…!

SNSを伸ばす

ありを
あと、SNSを伸ばすことも必須だと考えています。
私の場合は、連載漫画や書籍化のご依頼も、すべてSNSからつながった仕事なんですよね。
かえで
出版を見据えて、SNSを運用するということでしょうか?
ありを
はい!私の場合はInstagramのフォロワー1万人を目標にして、自分が出版したい系統の絵で漫画を描き続けていました。
かえで
道筋を決めて、あとは走り続けることが大切なんですね。

漫画をこれから描いていきたい人

かえで
絵を描くのが得意じゃない人が、本の出版に向けていまからできることはありますか?
ありを
下手だと思っても、どんどん発信して人に見てもらうのが、上達の近道だと思います!

自分が満足できた絵だけをSNSに載せる人も多いのですが、下手な状態から出し続けるほうが経験値が上がると思うんです。

かえで
絵が下手な状態で、発信するのはかなり勇気がいりそうです…。
ありを
私もInstagramをはじめたときは漫画ではなく、簡単なイラストを載せていました。

ありを
怖いけど、人に見せて感想をもらうことから逃げないでほしいです!

絵がモノに形を変えて、人の手に渡るように

かえで
最後に、改めて本の紹介とありをさんの今後の目標をお聞きしたいです!
ありを
山登りの知識だけでなく、山で過ごす穏やかで幸せな時間が伝わる内容になっているので、登ろうと思っていない方もぜひ1ページ読んでくださったら嬉しいです!
ありを
また、いまは山好きの方向けの絵を描いているのですが、将来的にはもっと幅広く知ってもらえる活動をしたいと考えています。

ヴィレッジバンガードに商品が並んだり、ガチャポンになったりと、自分の絵がモノになって人の手に渡るのが夢であり、目標ですね!

かえで
貴重なお話をありがとうございました!

>>ありをさん著書『ゼロから山女子始めてみました』はこちら!

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